「貧すれば鈍する」という言葉があるね。昔ほどは耳にしなくなったかな。
ひんすれ ば 鈍(どん)する
貧乏になるとその性質や頭の働きまでも愚鈍になる。また、貧乏するとどんな人でもさもしい心をもつようになることにもいう。
上は『日本国語大辞典』の定義。
すごいこと言ってるよなと思うけど、まあ『広辞苑』も同じような感じ。
貧すれば鈍する
貧乏になると頭のはたらきがにぶくなる、また、品性がさもしくなる。
果たしてこの言葉はPC的にどうなんだ、なんて考えながら、小学生用の国語辞典もみてみた。みたのは『チャレンジ小学国語辞典』と『小学新国語辞典』。驚いたことに、どちらにも「貧すれば鈍する」は載っていない。
というか、どちらも「びんじょう」の次が「ひんせい」になっていて「ひんす…」と続く言葉が載っていないのだった。
ふむ。「貧すれば鈍する」ってのはかなりメジャーなことわざだと思うんだけどな。太宰や芥川なんかを読んでいれば出てくるだろうに。そんなことわざを国語辞典に載せないのは不思議だな。
国語辞典の立場として、よっぽど「守りたいもの」があったのか。それとも出版界の方針として「そんな下品なことわざは徐々に消していきましょうよ」という合意があるのかどうか。
たしかに「すげーこと」言ってることわざだけど、辞書に載せないのもなんだか「すげーこと」に感じるな。他の小学生用国語辞典はどうなんだろうな。機会があったら調べてみようっと。